散骨屋日記

新語:自然葬

自然葬の仕事をしていると、いろいろな問合せがあり、
自然葬の解釈がそれぞれその人によって違う事が分かる。
自然葬と言う言葉は新しい言葉で、その意味合いが人に
よっ違って捉えられているようだ。

私は、「自然葬」は当然「葬式」を意味し、遺骨を自然に
戻す、例えば散骨であるとか植樹葬など、遺骨をどういう方法で安置するかの方法を表す部分と、「儀式」としての
「内容」をも表す二つの意味を含む言葉と解釈している。

『葬儀』が臨終の時点から葬式・墓参までの一連の儀礼を含む
言葉と同じように、「自然葬」には葬送の方法
(散骨・植樹葬等)プラス(式の内容)が含まれていると思っている。
自然葬の重要ポイントである

○海や山で散骨で行うのか、又は、植樹葬などで執り行うのか。      
○式をどう演出するか。

を明確にしないと、意味としては漠然とした言葉となってしまう。
自然葬の原点は、「人間は地球上の生物であり、その生命が
絶えた時、地球の自然構成物として早く戻れるように行う
葬送方法」とでも定義すると、
原始時代から行われ、また一部の国で今も行われている
鳥葬、水葬、川葬ともいうべき川に流す葬送方法、そして、
遺体のまま地中に埋葬する方法、散骨(海、川や湖、陸地、
もあり、これらが、自然葬の範疇に入る葬送方法だが、
最近は他に、宇宙に遺骨を送るという方法もある、しかし、
これが自然葬に入るかは疑問なので本書では省く事にする。

日本又はアメリカで可能な葬送方法は、

日本 遺骨の埋葬、 散骨、植樹葬、空中散骨
アメリカ 遺骨を御棺に入れての埋葬、遺骨の埋葬、散骨、水葬、植樹葬、空中散骨

その中でも太字が一般的に自然葬と呼ばれている。
自然葬の中でもやはり多いのが海での散骨のようだ。

ちなみに、英語では海での散骨式は「Burial at sea of cremated remains」と言うが、どこで行うかだけの違いがあるだけで山で散骨を行えば「Burial at mountain」となる。
散骨自体は『Scattering remains』という。

日本では1991年に初めて公式に行われ、散骨が「墓地・埋葬等に関する法律」に抵触し罪になるかもしれないという恐々たる状況の中で行われたと言う、それに対して旧厚生省、
法務省は「節度を持って行わられれば問題はない」という見解を出した。
今では散骨は可能だが、現在のところ、法律、地方条例などは一切無く、
埋葬する場合の場所などの規則はあるのだが、
散骨する場合の明文化された規則は無い。
法律の解釈で黙認されているような状況と言わざるを得ない。
その為、解釈の仕方によっては、自然葬後住民などの苦情などにより問題になる可能性は秘めており、例えば、海で散骨の場合、岸からどの位離れなくてはいけないかなどについても一定したものが無い為、岸辺から海に撒いたとしても「節度もって」式を執り行えば良い事となってしまうし、節度と言う言葉には具体的な意味合いを持たない。

ある散骨を業としている会社は20海里、他社は公海上と
別々な解釈をしており、近い所では東京湾内で行っている会社もある。

海での散骨は少しでも綺麗な海で行いたいが、
20海里も離れた所で散骨をする必然性もまた無い。
日本の近海は波が高いことが多い、しかも外洋であれば危険度も増す。

ご遺族は勿論、参列者にいらない船酔いなどの不快感を与えてしまうし、
そうした不必要な事が自然葬の広がりの芽をつぶす事も考えられる。

何故か日本では散骨をする前に御遺骨を砕いて粒子状に
しなければいけないとして、そのための業者も生まれたが、
明文化されていないのに何故死者に鞭打ち砕かなければ
いけないのか理解に苦しむ。
多分火葬したままの遺骨がそのまま岸に打ち上げられたりすると問題になるからだろうが、それであれば、
沖合何百メータ、または海底までの深さを決めたら良い。
アメリカのように船や飛行機で散骨した場合、
どの地点で行ったかを登録業者が保険局に報告する義務を
負わせるのでも良い。
散骨後進国なのだから良いところは先進国の真似をしてもなんら問題ないだろう。

しきたりや慣習、言い習わしが無い事が自然葬を希望する
人の選択理由の一つであるのに、どうしてこのように
不必要な自己規制が出来るのだろうか、慣習や先例に縛られ、
隣の人と同じように生きれば目立たないと言うような
「右へ習え!」の時代はもう終わりましたよと言いたい。

また、商売として将来性があると必ず悪徳と言われる者達が
輩出してくる。
法の欠陥を良い事と利用し、本来の自然葬の良さを踏みにじっていく。
日本で一つの葬送法方法として確立する為に早い時点での明文化が希望される。

その点アメリカでは、歴史が長いので、法律・地方条例ともに
完備され、各州で岸から500ヤード(450m)とか
3マイル(4800m)とか内容は違うものの、
基本的なことはすべて網羅されている。

その上で、散骨を行う者はライセンスを取り、
関係官庁の指定した条件を遵守する事が課せられる。
法律に則って行い、付近の住民感情に注意すれば、問題となる事は少ない。

ただし、数年前に、米国シアトルで、熱狂的なマリナーズのファンの遺言で、
試合中に空から散骨し、野球の試合が一時中断した事件があったが、
気分は分かるが、こういうことが出てくると困りものだ。

(新語:自然葬)

先に米国で可能な自然葬の中に水葬を記したが、
遺体のままの水葬も許されており望む人も多い。
昔は帆布で遺体を包み重石をつけ沈めたが、
今では、キャスケットと呼ばれる棺に
重しが入っており、浮き上がらないような工夫がされ、
深い海底で動かないように固定される。

日本に住む方が水葬を希望した場合でも、遺体を海外に
搬送し、水葬の規則に従って業者に依頼すれば、
伝染病が死亡原因でなければ請け負ってもらえる。

ここで、ここまでの事柄をまとめてみよう。

○自然葬にはいろいろな種類があり、可能なものは
 散骨・植樹葬・水葬(日本では不可)
○自然葬といえども法律・地方条例に沿い、住民感情を
 害さないよう行われなければならない。

先に、自然葬には式の内容も言葉の意味には含むと記したが、
いざ散骨をしようとする人でもどういう式をすればいいか
知っている人は少ないし、聞く人もいず困ってしまう事が多い。

しかし、故人を偲び、将来にわたって、仲の良かった人たちに思い出してもらえるような、
人生の最期まで自分らしさを表現し、いろいろな要望に
合わせて式の中身、つまり演出を考えるべきだ。
自然葬は全て、無宗教で執り行うものでもないし、
個人の信じた宗教や宗教家に送ってもらう事も可能だし、
宗教的なものを排除して、例えば故人がカラオケを大好きなのであれば
皆でカラオケを歌って送っても良いし、ギターの演奏会をしても良い。

大事な事は、自分の自然葬に参列して下さった方々と、
ご遺族の心の痛みが分かち合え、海での散骨であれば、
これからも海を見る度に、そして海を思い出した時に、
故人への思いがふつふつと湧きあがるような式となれば
良いのではないだろうか。

自然葬での式の内容は公序良俗に反さなければなんでもいいの
だから、自分は自然葬にしようと決めた人は今から演出内容も
考えておいたほうがいい。

故人を自然葬で送る遺族は、オリジナルな良いお式だったと、
誇れるような式の演出を考えると良い。
自然葬は、御遺骨を船から撒いたり、植樹の為に撒いて終わりではない。

例えシンプルな式でも内容を密にでき、世界で一番良いお葬式だったと自分達で思えるように考え、実行する。
それが出来るのが自然葬の良いところだし、
その手助けをする為に私達散骨屋がいるのだ。

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